pikaの雑記

とある学習院大生のブログ

中卒ニートと一匹の鼬

僕は小学生の頃にフェレット飼っていた。

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(画像は実際に僕が飼っていたものではないが)

 

犬や猫を飼っている人は多いが、フェレットを飼っている人は周りにそう多くはなかったので、周りから珍しがられた。

 

 

フェレットは独特の臭気を放ち、かつ服に付着させるとその服に毛が付きまとってしまうので、小学生当時、外見などに無頓着であった僕は、よく毛だらけの服で独特の臭いを身にまとったまま学校に行っていた。

当然周りからは弄られていた。そういうキャラだった。

 

 

中学生になってからも、フェレットは飼い続けた。

一時期、家には5匹のフェレットがいたこともある。

 

 

さて、そんな僕だが、中学3年生の冬、学校に行かなくなってしまう。所謂不登校である。

丁度その頃、ある一匹のフェレットが僕の家にやってくることとなった。

そのフェレットとは、「アンゴラ」という種で、通常より一回り身体が大きく、体毛も長いものだった

 

 

飼い始めた当時、僕はその一匹のフェレットがとても可愛らしく思えた。

所謂赤子のフェレットであったが、通常の赤ちゃんよりもすでに一回り大きく、体毛は薄い茶色の綺麗な色をしていた。

引きこもりで一日中家にいたので、その子と一日中触れ合うことができた

 

 

それから数か月が経ったころだろうか。僕がせっかく入学した高校を中退し、所謂中卒ニートと化するのは。

しかし、その子は飼い主がどういう状況であろうともお構いなしに、いつも構って欲しげな目でこちらを見つめてくる。

小動物とは、なんて幸せな生き物なのだろうか。そんなことを思った

 

 

その後しばらくして、ネットで知り合った人に自慢のその子の写真を見せた。

しかし、その反応は微妙なものであった。今までの経験上、およそどんな人もフェレットの画像を見せれば、好意的な反応を見せてくれていたのに。

そう思い、もう一度僕はその子を見つめてみる。

「ああ、確かにコイツ、赤ちゃんの頃に比べて毛の色が褪せていて、ちょっと汚く見えるかな。」そんなことを思った。

しかし、その子の見た目など、どうでもよかった。一度愛着が生まれたものについては、如何なる人も同様であろう。そんなものだ

 

 

─僕の自分に対する外見のコンプレックスは日々増していった。

次第に幻聴と実際の音声との区別がつかなくなっていく。

しかし、その子は確実に家にいて、確実に僕に対し構ってくれと言わんばかりの顔で訴えかけていて、僕の心の癒しの存在であった。

 

 

時が経ち、19歳(2浪)の秋。

本格的に大学受験の勉強を始めたのはこの頃だ。外見に対するコンプレックスも次第に解消されていき、普通に一人で家の外へ出歩けるくらいにはなった。

そんな中、いつも慣れ親しんでいるフェレットに、ある一つの異変が起こる

 

 

身体の背中側に少し大きなデキモノができていた。動物病院に連れて行くと、それは所謂悪性腫瘍、ガンだとのことだ。

摘出手術をしてもらうことを考えたが、そう言えばフェレットの寿命は6~8年程度であり、僕がこの子を飼い始めたのはおよそ5,6年前。そろそろ寿命を迎えるころなのだろうと悟った。

 

 

20歳(3浪)の春、僕は周囲からのアドバイスに従い、予備校に入る。

予備校でコミュニティなど作るつもりは全くもって無かったが、ごく一部の人と仲良くなってしまった。気軽に話せる存在が出来たのはいつ以来であろうか。

その友達と話しているうちに、僕の本来の外見コンプレックスは消滅していった。

 

 

僕は模試の結果が次第に(多少は)良くなるにつれ、予備校の授業を取捨選択するようになる。無駄な授業が多かったのだ。

次第に自分で参考書などをもとに勉強するようになっていった。

 

 

その癌はどんどん肥大化していった。その腫瘍の違和感が気になるらしく、よく患部に噛みついていて、その部分が血まみれになっていることもあった。

 

 

僕はその子を段々気に留めなくなっていった。愛情が失せたわけではないが、自分のことを第一に考えるようになっていった。

 

 

僕がセンター試験で思ったよりいい結果を出した頃だろうか。

そのフェレットはついに息絶えた。

 

 

思い返せばそのフェレットは、丁度僕が引きこもっていた頃にやってきた。

そして、その子がいた期間、ずっと僕は社会の底辺として居続けていた。

─疫病神だったのだろうか?

いやそれとも、

僕をずっと見守ってくれていたのだろうか?

 

 

そんなことを考えているうちに、僕のもとに、今僕が通っている学習院大学や、その他MARCHの大学の合格通知が届いた。

元々、早稲田または国立大を目指していた身としては少々物足りない結果であったが、無事大学に合格することはできた。

 

 

かつて僕が可愛がっていたフェレットの亡骸は、僕の実家の庭に埋められている。